今回は、前回のエントリ
「ソーシャルメディアマーケティング失敗事例」で
引用した
iMedia Connectionの記事でも紹介されていたDellの話。
Dellは2005年に、アメリカの有名ブロガーJeff Jarvisが、Dellのカスタマーサービスの
対応の悪さを何度と無く自身のブログに書き込んだ結果、著しく評判を落とした
という失敗がありますが(その後、Dell会長のMichael Dell自ら謝罪)、これに教訓を得て、
Dellは
IdeaStormというコミュニティサイトを立ち上げました。
このコミュニティサイトは、コミュニティ参加者が考えている「Dellが次にするべきこと」に
Dellが耳を傾けるためのサイトで、Dellに対して何かアイデアを投稿したり、自分が
すばらしいと思うアイデアに投票・コメントすることができます。
6月11日のAdAgeの記事によれば、IdeaStormでは、今や5,500件以上に渡るDellへの提案、
24,000件に及ぶコメントがつくほどになり、実際にそこから21件が採用されるに
至ったそうです。
AdAgeでは、この取り組みを「カスタマーサービスの未来形」として
詳しく取り上げています。
Dell Quells Critics With Web 2.0 Tack (AdAge)
- Social Media Has Turned Customer Service Inside-out for All to See -これまでカスタマサービスといえば、企業 対 消費者の1対1の関係でしたが
今後は これらが全てWeb上に公開され1 対 n の関係になることにより、
カスタマーサービス機能自体もソーシャルメディアとしての役割に近づくのではないか
とのこと。
つまり、消費者に対して良い対応をすればブランド価値は高まるし
悪ければそれは著しく下がります。
もちろん、このような流れは今に始まった話ではなく、
東芝のカスタマーサポート事件など、顧客への対応が悪い企業が
ネット上で叩かれるという話はあったわけですが、IdeaStormが異なるのは
自社のサイト上で消費者の苦情や要望を全て公開し、サービスの改善に
繋げていくことにより、企業イメージを「マイナス」⇒「ゼロ」だけでなく
「ゼロ」⇒「プラス」へと発展させている点が違います。
類似の事例で、「ソーシャルコマース」という概念で紹介されていて
面白かったのが、米デルタ航空の事例。
顧客満足度が著しく低い米航空業界にあって、デルタ航空は
Change.Delta.comというサイトを立ち上げました。
このサイトでは、例えば「シーツをもっと大きくしてほしい」という
顧客からの提案・要望を受け付けたり、顧客が望むサービスや特典を
投票形式で受け付ける、という取り組みをしているそうです。
普通の大企業においては、なかなかここまでやるのは
ハードルが高いだろうなと思いますが、消費者・企業双方にとって
メリットがありますし、今後日本でもこういう事例が増えると良いなと
思った次第です。
posted by Yahnny at 02:12|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
マーケティング・PR
|
|