この雑誌は、APAC地域を対象としたオンラインマーケティングに関する専門誌で、ソーシャルメディア関連の最新ニュース・統計、デジタルキャンペーンの紹介、効果的にデジタルキャンペーンを実施するためのTipsなどが書かれています。
特に、米国のAd Age や PR WEEK、O'dwyerなどと同様、クライアントサイドではなく、代理店サイドの観点から書かれているので実務上でも大変参考になります。
(Web版のページが無いのが非常に残念ですが)
今月の特集は
・マーケティングツールとしてのWidgetの活用法、
・APAC地域における主要広告グループのデジタル勢力図
だったのですが、私個人的には、「The first piece of the jigsaw」と題する統合型マーケティングの課題について書かれてたスペシャルレポートが最も参考になりました。
非常に良くできた記事だったので、一部サマリーを抜粋してご紹介します。
(乱訳にて原文と一部異なる点、読みづらい点あるかと思いますが、ご了承ください。。)
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The first piece of the jigsaw
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・APAC地域における、デジタルメディア(Web・モバイル)の消費量が急上昇している
−本来であれば、メディアプランにおいてもデジタルメディアが、もっと重要視されるべき
・しかし、現実はそうなっていない
・「統合型マーケティング(Integration)」はここ数年間、マーケティング業界の流行語のひとつだが、
米国や英国に比べて、デジタルメディアに投下される広告予算はまだまだ少ない
−欧米では広告主が広告予算の20%をデジタルメディアに投下するのが一般的になりつつある
・Group M社の予測によれば
「米国全体で、全広告消費の12%がデジタルメディアになる」(APACは8%)
−現在は過渡期にあり、最終的には(欧米に)追いつくだろう
・もちろん、デジタル統合型キャンペーンの成功例が無いわけではない
−コカコーラやNike、リーバイスなど先駆的なブランドは既にAPAC地域に限らず、
全世界的に成功を収めている
・しかし、現状はこれらのブランドは「例外」に留まっている
−大半は、デジタルメディアはTV・雑誌メディアの「補強」程度のポジション
・上記背景として挙げられる主な理由は3点
1) デジタルキャンペーンを実施するには(クライアントの認識以上に)
サイトの構築やテストに時間がかかる
2) 大半のデジタルキャンペーンは、オーダーメイドで(しっかりとしたフォーマットが無い)、
往々にして計画が狂うことが多く、クライアントに冷や汗をかかせる
3) コストがかかる。戦略立案、情報構築、統合型メディアプラン立案、サイト構築etcなど
時間と専門性を要する
さらに上記に付け加えるならば、
4) テレビメディアがマーケットを支配している。エージェンシーの業界構造は
テレビメディアを中心に組み立てられている。つまりテレビメディアが最も認知度獲得
と収益向上に繋がる。従って、デジタルメディアのプライオリティは低い
・その一方で、デジタルメディアを主要チャネルとして活用しているブランドも多数ある。
−しかし、大半はブランド構築のためではなく、単なるダイレクトマーケティングの
ツールとして活用しているに過ぎないのが現状
・中国の広告代理店OMDの幹部によれば
「自動車、金融、旅行業界などでは、メディア予算の25%がデジタルメディア、
というのも珍しくない。他のトラディショナルな業界(消費財など)では、5〜8%が相場。」
・このような状況は、デジタルメディアを消費し、テレビを見ない若い世代が
歳を取るにつれて、改善されるようになるだろう
−広告予算全体の10〜20%はデジタルメディアに配分されるようになるべき
・特に、媒体費よりも制作費に、より配分されるべき
・上記のような最適なレベルに到達するには、業界全体として
デジタルメディアが単なるダイレクトマーケティングツールではなく、
ブランド構築に効果的なメディアであることを証明する必要がある。
・現状の課題は、デジタルメディアの有効性を示すための適切なツールとリソースが無いこと
−APAC地域において、多くあがる不満が、オンラインに関連したデータが少ないことだ
(特にリーチとフリークエンシー)
−リソースに関しても、既存・デジタルに関わらず、統合型マーケティングに関する
ノウハウを持った人材を育てていく必要がある
・業界的に、統合型マーケティングプランニングに知見を持った人材が少ない
・ツールを入手する以外に、業界全体として、複数のメディアチャネルを活用し、
それをブランド構築のために統合的にプラン・実施できる、新しいタイプの
マーケター・プランナーを必要としている
・代理店は、メディア毎の縦割りの組織を破壊し、確実に
デジタル領域を全てのブレインストーミングに取り込むこと、そして
単なる余った予算の活用程度にしないことだ
・デジタルに強い(新世代の)マーケティングマネージャーが、
伝統的かつ時代遅れな世代のマーケターの絶滅を促すようになれば、
世代交代が起こるかもしれない。少なくともあと5年程度は見てみよう。
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